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浮世絵を9:16の壁紙に切り出す — 49点で決めたこと

2026-11-04 公開

歌川広重・葛飾北斎ほか5人の浮世絵と新版画49点を、美術館がCC0で公開している画像から壁紙にしました。切り出す位置の決め方、外した作品、そして測ってみて分かった「浮世絵は明るい」という性質をまとめます。

Drift Wallpapers には、歌川広重や葛飾北斎の浮世絵、吉田博の新版画をスマートフォンの壁紙にしたものが 49 点あります。どれも美術館がパブリックドメイン(CC0)として公開している高精細な画像から切り出しました。ここでは、どの作品をどう選び、縦長の画面にどう収めたかを書いておきます。

どこから、何を選んだか

画像はすべて、アメリカのクリーブランド美術館(The Cleveland Museum of Art)のオープンアクセスから取りました。この美術館は、所蔵品のうち著作権の切れた作品の画像を CC0 で公開していて、誰でも自由に使えます。各壁紙のページには、作者、作品名、制作年、所蔵館、ライセンス、元の画像へのリンクを載せています。

作者 点数 主な作品
歌川広重 27点 東海道五拾三次之内 蒲原 夜之雪、名所江戸百景 大はしあたけの夕立、花鳥画
葛飾北斎 13点 富嶽三十六景 凱風快晴、百人一首うばがゑとき、諸国瀧廻り
吉田博 5点 桜八題 嵐山、東京拾二題 神楽坂通 雨後の夜、杉並木
渓斎英泉 3点 雪中竹に雀、江戸隅田川雪の遠景、鯉の滝登り
歌川国芳 1点 東都名所 大森

吉田博の作品だけは江戸時代ではなく、1927 年から 1937 年に制作された新版画です。作者は 1950 年に亡くなっていて、日本でも著作権の保護期間は終わっています。

縦長の画面にどう収めたか

浮世絵には、短冊のような縦長の作品と、東海道五拾三次のような横長の作品があります。スマートフォンの壁紙は 9:16 の縦長なので、横長の作品からは一部を切り出すしかありません。

切り出す位置は、まず機械で候補を出しました。9:16 の枠を作品の長い辺に沿って少しずつ動かし、枠の中の明暗のばらつきがいちばん大きくなる位置を選びます。ばらつきが大きい場所には、人物や建物、波などの描き込みが集まっているからです。縦長の作品ではほぼ中央が、横長の作品では主役のある側が選ばれました。

そのうえで、候補を 30 点ずつ並べた一覧を目で見て、次のものを外しました。

  • 構図の大事な部分が切れるもの。主役の人物や建物が画面の端で途中から切れてしまう切り出し
  • 紙の縁や余白が目立つもの。版画の周りの余白が帯のように入ると、画面の端が不自然になります
  • 同じ図柄の別の刷り。美術館は同じ作品の刷りを複数持っていることがあり、たとえば広重の「阿波鳴門之風景」は 4 点ありました。この場合は 1 点だけを使っています

題字や落款(作者の署名)は作品の一部なので、切り出しの範囲に入っていても消していません。

大きさ

美術館の画像は、長い辺が 3400 ピクセル前後です。9:16 に切り出した結果が 1440×2560 以上になった 24 点はその大きさで、足りなかった 25 点は 1080×1920 で配信しています。横長の作品ほど、切り出した後の大きさが小さくなります。

測ってみると、浮世絵は明るい

49 点を、ほかの壁紙と同じ方法で測りました。明るさは人の目の感度に合わせた輝度(0〜255)です。

浮世絵・新版画 49点 収録全体 1,090枚
平均の明るさ 131 105
時計の帯(上から 10〜28%)の平均 140 112
時計が読みやすい(80 未満) 3点(6%) 297枚(27%)
アイコン名が読みやすい(下部が 80 未満) 2点(4%) 456枚(42%)
平坦(ばらつき 45 未満) 15点(31%) 166枚(15%)

浮世絵は、紙の地色と淡い空のおかげで全体が明るく、白い文字の時計やアイコン名とは相性がよくありません。時計が読みやすい暗さだったのは、夜空に花火が開く広重の「名所江戸百景 両国花火」、北斎の「鯉と水草」、広重の「東海道五十三次 関」の 3 点だけでした。

その代わり、平坦な壁紙の割合は収録全体の 2 倍あります。木版画は色の面がはっきり分かれていて、写真のような細かい明暗のざらつきが少ないためです。アイコンを並べても背景がうるさくなりにくい、という点では使いやすい壁紙です。

浮世絵を壁紙にするときのこつ

  • ロック画面では時計の色を濃くする。iPhone はロック画面を長押しして「カスタマイズ」から時計の色を変えられます。紺や墨色にすると、明るい版画の上でも読めます
  • ホーム画面ではアイコンを下に寄せない。版画は下のほうも明るいので、よく使うアプリは上の段とドックにまとめると、アイコン名が読みやすくなります
  • 夜の作品を探す。「夜之雪」「夜雨」「両国花火」のように題に夜が入る作品は、暗い部分が多めです

49 点の一覧は「浮世絵・新版画の壁紙 — 広重・北斎ほか」にあります。作品ごとのページには、描かれている場所や季節の解説もあります。

ほかの読み物

  • 色で選んだ壁紙は、ロック画面に向くか — 13色の実測
  • 同じ写真が72枚あった — 1,162枚を総当たりで照合した記録
  • 宇宙の写真を壁紙にする — NASA と ESA/Hubble の30枚
  • 折りたたみスマホの内側画面で、壁紙の上下はどれだけ切れるか
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