壁紙の「色」は面積で決まらない
面積で数えると1位は黒で全体の25.3%でした。人が付けた色タグとの一致は26.6%でしたが、調べてみるとタグが誤っていたわけではありませんでした。
「この壁紙は何色か」と聞かれたら、たいていの人は写っているものの色を答えます。赤い薔薇の写真なら赤、緑の田園なら緑、というように。
ところが同じ写真を機械に測らせると、まったく別の答えが返ってきます。Drift Wallpapers に収録している壁紙を1枚ずつ測ってみたところ、面積でいちばん多い色は「黒」で、全体の4分の1を占めていました。赤い薔薇の写真も、面積の45%は黒でした。
面積で数えるとこうなる
各壁紙を減色して、どの色が何割を占めているかを数えました。その1位だけを集計した結果です。
| 面積1位の色 | 枚数 | 割合 |
|---|---|---|
| ブラック | 274枚 | 25.3% |
| ブラウン | 177枚 | 16.3% |
| グレー | 132枚 | 12.2% |
| ネイビー | 122枚 | 11.3% |
| ブルー | 119枚 | 11.0% |
| グリーン | 57枚 | 5.3% |
上位は黒・茶・灰・紺と、地味な色が並びます。鮮やかな色は下のほうです。写真の面積の多くは、影や暗部や背景で占められているためです。
人の見え方とは一致しない
Drift Wallpapers では、収録時に各壁紙へ色のタグを付けています。これは画像を見て「この壁紙は何色か」を判断したものです。この人間寄りのタグと、面積で測った1位を突き合わせました。
| 枚数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 面積1位とタグの1番目が一致 | 288枚 | 26.6% |
| 面積1位がタグのどれかに含まれる | 516枚 | 47.6% |
一致したのは4枚に1枚だけでした。最初にこの数字を見たときは、タグの付け方が雑だったのかと考えました。しかし中身を1枚ずつ見ていくと、そうではありませんでした。
| 壁紙 | 付けたタグ | 面積で測った結果 |
|---|---|---|
| 赤い薔薇 | レッド | ブラック45% / レッド31% |
| マチュピチュの遺跡 | グリーン | ブラック37% / ゴールド26% |
| 地中海のマリーナ | ブルー | ブラック40% / ホワイト29% |
薔薇の写真は、背景が暗く落ちていて花だけが浮かんでいます。面積で数えれば黒が最大です。でも人がこの写真を見て「黒い壁紙」とは言いません。タグが間違っていたのではなく、測っていたものが違っただけでした。
実際、面積1位が黒だった274枚のうち、タグに黒が入っていたのは77枚(28%)だけです。残りの197枚は「黒がいちばん多いのに、黒とは認識されていない写真」ということになります。
面積と印象が食い違う理由
人の視覚は面積を平等には扱いません。彩度の高い色、明るい部分、輪郭のはっきりしたものに注意が向きます。写真の暗部は、面積を占めていても「背景」として処理され、色として記憶に残りません。
写真を撮る側もそれを利用します。主役を目立たせるために背景を暗く落とすのは、ごく基本的な手法です。その結果として、印象に残る色ほど面積では少数派になるという逆転が起きます。
壁紙を選ぶときにどちらを見るか
この違いは、実際に壁紙を選ぶときにも効いてきます。
ホーム画面の全体の雰囲気を決めたいなら、面積で多い色のほうが実態に近くなります。アイコンの隙間から見えるのは、主役ではなく背景だからです。暗い背景の写真は、主役が何色でも落ち着いた画面になります。
気分や印象で選びたいなら、タグに付いている色のほうが役に立ちます。「赤い壁紙が欲しい」と思っているとき、求めているのは面積の話ではありません。
Drift Wallpapers の色の絞り込みは後者、つまり人が見たときの印象に合わせています。地図をドラッグしながら似た色をたどっていく体験も、面積ではなく印象を基準に並べたほうが自然だと考えたためです。
ただ、今回測ってみて分かったのは、この2つの基準は同じ写真に対してまったく違う答えを出すということでした。どちらか一方が正しいわけではありません。