「黒い壁紙は電池が長持ち」は本当か
真っ黒な画素の割合を1枚ずつ測ったら、半数近くが5%未満でした。暗く見えることと、有機ELで消灯していることは別物です。
有機EL(OLED)の画面は、黒を表示するとき画素そのものが消灯します。液晶のようにバックライトで照らしながら黒を作るのではなく、光っていない状態がそのまま黒になります。
この性質から、「黒い壁紙を使うと電池が長持ちする」という話をよく聞きます。理屈としては正しいのですが、では実際に配布されている壁紙のうち、どれくらいが本当に黒いのでしょうか。
収録している壁紙を1枚ずつ測ってみました。結果は予想よりずっと黒くありませんでした。
「真っ黒」を数える
各壁紙をグレースケールに変換し、明るさが24以下(255段階)の画素を「ほぼ真っ黒」として数えました。有機ELで実質的に消灯するのはこのあたりの領域です。
| 真っ黒な画素の割合 | 枚数 | 割合 |
|---|---|---|
| ほぼ無し(〜5%) | 517枚 | 47.7% |
| 少し(5〜20%) | 363枚 | 33.5% |
| まあまあ(20〜40%) | 155枚 | 14.3% |
| 多い(40%〜) | 48枚 | 4.4% |
全体の平均は10.5%、中央値は5.6%でした。半数近くの壁紙は、真っ黒な部分が5%もありません。40%以上を真っ黒が占める壁紙は48枚、全体の4.4%しかありませんでした。
写真をもとにした壁紙は、暗く見えても実際には真っ黒ではないためです。夜景の空も、影の部分も、測ってみると20とか40といった「暗いグレー」であることがほとんどです。人の目には黒く見えますが、画素は消えていません。
暗く見えることと、消灯していることは違う
ここが今回いちばん面白かった点です。
たとえば全体の明るさが平均73と、はっきり「暗い」部類に入る壁紙でも、真っ黒な画素の割合は10%台ということがあります。画面全体としては暗いのに、ほとんどの画素は弱く光り続けている状態です。
省電力という観点で効くのは前者ではなく後者、つまり完全に消灯している画素がどれだけあるかです。「暗い壁紙」と「黒い壁紙」は別物で、電池の話をするなら後者を見る必要があります。
なお、実際にどれくらい電池が持つようになるかは、画面の明るさ設定・使用時間・パネルの世代によって大きく変わります。ここで測ったのは壁紙側の条件だけなので、消費電力そのものを測ったわけではありません。その点は正直に書いておきます。
エリアによる違い
Drift Wallpapers は壁紙を8つのエリアに分けています。エリアごとの平均を出すと、はっきり差がありました。
| エリア | 真っ黒の平均割合 |
|---|---|
| サイバー礁 | 24.1% |
| ビロードの湾 | 12.7% |
| 熾火の海岸 | 10.0% |
| 潮の窪 | 8.3% |
| 灰の高原 | 8.0% |
| 夢の草原 | 7.1% |
| 電脳の森 | 7.0% |
| 硝子の凍原 | 5.4% |
サイバー礁が突出しています。夜景やネオン、暗い背景に光が浮かぶ絵柄が集まっているエリアなので、納得のいく結果です。硝子の凍原の4倍以上あります。
黒い壁紙を探すなら、まずサイバー礁を見るのが早いということになります。ちなみにこのエリアは、ロック画面の時計が読みやすい壁紙の割合でも1位(65%)でした。暗い背景は白い文字とも相性が良いので、これも理屈としては同じことです。
本当に黒い壁紙が欲しいなら
省電力をはっきり狙うなら、写真ではなく意図的に黒を背景にしたグラフィックを選ぶことになります。今回の測定でいちばん黒かった3枚も、写真ではなくグラフィック寄りの絵柄でした。
- colorful-painted-heart-black — 80.8%
- fire-and-ice-fists — 79.5%
- blue-wireframe-swirl — 75.2%
いずれも黒地に図形や光が浮かぶ構成で、面積の8割前後が消灯します。この水準になると、写真ベースの壁紙とはまったく別のカテゴリです。
逆に言えば、風景写真を使いながら省電力も期待する、というのは無理があります。写真として成立させるには、暗部にもある程度の階調が必要だからです。省電力を取るか、写真の見栄えを取るかは、基本的にトレードオフだと考えたほうが実態に合っています。